Hello Kitty(ハローキティ)展を見学し、キャラクタービジネスの本質を学んできました!
2024-12-23
カテゴリ:活動の紹介-ビジネス実務学科
フィールドワークでビジネスの専門知識を学ぶゼミ
2024年12月13日、1年および2年のゼミ生が、日本の『カワイイ』の象徴であり、「キティちゃん」の愛称で親しまれる「ハローキティ」のデビュー50周年を記念して開催された展覧会「Hello Kitty展 ―私が変わるとキティも変わる―」を見学しました。
この展覧会は東京・上野の「東京国立博物館 表慶館」で開催され、1,000点を超えるグッズの展示に加えて、オリジナルの動画、他の有名キャラクターやブランド、アーティストとのコラボレーション作品を紹介し、1974年11月1日にキャラクターありきではなく、ビニール製の透明な小さな財布の名もない絵柄として誕生した「ハローキティ」が、日本を代表する世界的なキャラクターにまで成長する50年の歩みをたどるものです。
今回はこのHello Kitty展を通して、ゼミ生が学んだビジネスの知識をレポートします。
キャラクターとしての「ハローキティ」の特徴とは?(※)
Hello Kitty展は「人々が生活する現実世界にやってくるキャラクター、ハローキティ」がメインテーマであり、展覧会のサブタイトルにも掲げられた「私が変わるとキティも変わる」を体現し続けてきたことが、キャラクターとしてのハローキティの最大の特徴と言えるでしょう。
アニメなどのコンテンツから生まれた世の中の数多くのキャラクターには、その背景に必ずストーリーが存在しており、人々はあらかじめ定められた世界観の中だけでキャラクターと接することができます。
当時の「株式会社サンリオ(「山梨シルクセンター」がその前身)」という小さな会社が製造し販売した商品の名もない意匠(デザイン)として生まれたハローキティは、日常使いのグッズとして、ハローキティの方からファンの人々の前へと現れたのです。
つまり、「私が変わるとキティも変わる」は時代や環境、ファンの好みやライフステージが変われば、その変化に応じてハローキティも変わることを意味しており、この特徴が世界的なキャラクターにまで成長していった最大の要因と考えられるのです。
(※)「Hello Kitty展 ―私が変わるとキティも変わる―」の展示案内と図録を参考に記述
ハローキティを題材に「ライセンスビジネス」の仕組みを学ぶ
「ライセンスビジネス」は「ライセンサー (版権元)」が、自ら保有するキャラクターやブランドなどを使用する権利を「ライセンシー (許諾先)」に与え、グッズなどの製造・販売を許可することで、ライセンサーが「ライセンス収入」を得るものです。
ライセンスビジネスにおいてライセンシーは、ライセンサーに「ロイヤリティ(使用料)」を支払いますが、その対価として商品にキャラクターやブランドの価値を付加することができます。
一方、ライセンサーは商品在庫のリスクを抱えることなく、自分たちが不得手とする商品カテゴリーや、販路を持たない国や地域にビジネスを拡大することができるメリットがあります。
しかしながら、海外で多く見られるように、ライセンサーは価値に見合わない高額なロイヤリティをライセンシーに要求したり、過去に国内でも見られたように、ライセンシーはキャラクターやブランドの価値に見合わない品質の商品を製造・販売したり、お互いがその価値を低下させてしまうというデメリットもあります。
ハローキティの生みの親であるサンリオは、ライセンサーとしての管理や制約を極端に強めることをせずに、ライセンシーの自由な発想と創造性に投資をすることで大きな成長を遂げた企業です。
社外の数多くのライセンシーからも幅広いアイデアを積極的に取り入れ、サンリオだけでは生み出すことのできない新しい価値を創造するといった、現代風に表現するなら、言わば「オープンイノベーション」戦略を標榜することによって、サンリオはハローキティを世界に通用するキャラクターへと育て上げることができたのです。
サンリオの先進性と普遍性にみるキャラクタービジネスの本質
今やサンリオは数多くの人気キャラクターを有しており、そのキャラクターたちを利益の源泉とし、オープンイノベーションを活用することによって、複数の異なる事業を展開するコングロマリット(※)へと変貌を遂げました。
加えて近年のサンリオは、インターネットで収集・蓄積したデータで価値を生み出す「Webマーケティング」に長けた先進的なビジネスを展開する企業としての側面もあります。
サンリオのキャラクターはそれぞれが主要なSNSに公式アカウントを持ち、日々ファンの人々と双方向のコミュニケーションを図ることで良好な関係性を保ちながら、サンリオの公式ホームページやキャラクターの専用サイト、キャンペーンの特設サイトへとファンを誘う必然を作り出しています。
日常的に活用されているSNSでの強いつながりの中で、ハローキティの方からファンの人々の前へと現れて、今も「私が変わるとキティも変わる」を普遍的に体現し続けているのです。
(※)市場が異なり、ノウハウに関連性のない複数の業種で事業を展開している大規模企業のことで、サンリオの場合、オープンイノベーションで実現している。
学生からの主なコメント
- Hello Kitty展では、キティちゃんの歴史について初めて深く触れることができました。グッズデザインから誕生したキティちゃんのキャラクターに隠された秘密や思いについて知り、とても感動しました。キャラクターを用いたビジネスについて、今回のHello Kitty展で学んだことを今後の研究に活かしていきたいです。
- Hello Kitty展のターゲットは、若い女性が中心だと思っていましたが、年代や国籍、男女問わず、幅広い層のファンが訪れていて、ハローキティは昔から多くの人から人気のあるキャラクターであることを改めて実感しました。
- キティちゃんがファンを増やし、その人気を長く保っているのは、たくさんのブランドとコラボしたり、時代やトレンド、季節によって衣装のデザインやカラー、雰囲気を変えたり、ファンのニーズに合わせて変化し続けているからなんだなと思いました。
- 今回のHello Kitty展を通して、サンリオの企業努力やマーケティング戦略について学ぶことが出来ました。流行りのものやファッションブランド、他の人気キャラクターとのコラボはもちろん、幅広い分野とのコラボが実現されており、それにより老若男女の様々な層からの支持を得ているのだと感じました。
- 日頃から雑貨屋やお土産屋などでハローキティをよく見かけていましたが、それぞれのお店でお客さんのニーズに合ったグッズが品揃えされているのにいつも驚かされていました。今回は、見返り美人図や風神雷神図屏風など東京国立博物館とのコラボ作品もあり、日本ならではの独特なデザインがとても素晴らしく、キティちゃんの可愛らしさが表現されていました。